面接について

日本政策金融公庫の基礎知識

面接について

日本政策金融公庫は、預金機能や銀行引き落としなどの決済機能などがありませんので、一般の人にはあまり縁がないかもしれません。

そういった場所での面接なので、少し緊張されるかもしれません。

しかし、面接といっても、採用試験の面接みたいな緊張する場ではなく、和やかなムードですすんでいきますので、安心して面接に臨みましょう。

融資担当者も、あなたの融資を断るために面接を行うのではなく、あなたの融資が成功するように親身になって面接を行ってくれます。

面接のポイント

以下では面接で聞かれると思われる事項をまとめてみました。

面接だからといって特に構える必要はありませんが、経営者として自分の会社の実態をよく理解しておくことが必要です。

事前にある程度の準備をしておいたほうがよいでしょう。

POINT1. いくら必要か(借入金額)

運転資金であれば資金繰り表など、設備資金であれば設備の見積書などにより、いくら必要なのか借入金額が算出できます。

そして、その算出した根拠により、担当者と話をつめていきましょう。

「2~300万円貸して欲しい」とか「大体300万円ぐらい貸して欲しい」と言う経営者をよく見かけますが、2~300万円といっても100万円も開きがあります。

また、大体というのはあまりにもアバウトです。

自信がなかったりとかよくわからないのでそのような応答をするのかもしれませんが、きっちり300万円とか、250万円とか言わないと融資担当者としては不安になってしまいます。

「この企業はちゃんとした経理が行われているのか。」

「経営者は経営の実態を把握してるのか?」

などと変な勘ぐりをいれたくなるところです。

借入金額は、アバウトではなく自分なりの根拠で「○○万円必要です。」と断言してください。

また、「うちはいくらまでなら借りられますか」と聞く経営者の方もいらっしゃいますが、融資金額は企業にいくら融資できるかではなく、企業がいくら必要とするかによって決まってきます。

POINT2. いつ必要か(借入時期)

運転資金なら資金繰り表など、設備資金であれば設備代金の支払い時期などで借入が必要となる時期が決まってきます。

資金繰り表などの資料があればいつ必要かの説得力があります。

融資は、1~2週間ぐらいで実行されるわけではありません。

十分に余裕を持って、できれば必要となる時期の3ヶ月ぐらい前には相談するようにしてください。

POINT3. 何に使うのか(資金使途)

資金をどのように使うのかということは、運転資金であれば資金繰り表、設備投資であれば設備の見積書があれば、はっきり説明できるでしょう。

資金使途がはっきりとしないものに関しては、借入することができません。

また、他の金融機関への返済の穴埋めのためであるとか、事業以外(生活費や遊興費)への使途などであれば借入することができません。

POINT4. どうやって返すか(返済計画)

返済財源とは、減価償却費+税引後利益の合計額となります。

基本的にはこの範囲内でしか返済はできないといえます。

この返済計画を示すには、将来にわたっての利益予測を記入した事業計画書、資金繰り表などを提出するのがよい方法です。

POINT5. 担保・保証人はどうするか(保全)

担保が用意できるようであれば、日本政策金融公庫担当者にその旨を伝えるとその後の審査が有利になります。

日本政策金融公庫が担保にできるものは基本的に不動産です。

準備するものは、不動産の登記簿謄本、公図、固定資産の評価証明書などになります。

担保について詳しくは

担保について
担保について 担保とは、金銭債務が履行されない場合、その履行に代えて債権者が担保として提供を受けたものについて、一方的に換価し債務の弁済に当てる権利、もしくは、その目的物のことです。 簡単にいうと、お金を借りた人が、借りたお金を返せ...

また、日本政策金融公庫担当者から「担保はありますか」と聞かれるまでは、言わないという手もあります。

業績がよい場合など、担保がなくても借りられる可能性もありますので、今後の融資が必要になるときのためにとっておくのもよいでしょう。

保証人については、基本的に代表者は、保証人を要求されます。

また、代表者以外の保証人が用意できるようであれば、日本政策金融公庫担当者にその旨を伝えるとその後の審査が有利になります。

日本政策金融公庫では、第三者の方の保証や担保(不動産、有価証券等)などの提供を不要とする融資を行っています。
(法人は無担保・代表者の方のみの保証、個人は無担保・無保証人)。

この場合、基準金利より0.65%の金利の上乗せがあります。

第三者保証人等を不要とする融資について詳しくは

主な融資制度と金利
日本政策金融公庫の主な融資制度 以下で、日本政策金融公庫の主な融資制度をご紹介しています。 利率はその都度変動しますので、日本政策金融公庫のホームページでご確認ください。 金利等は、日本政策金融公庫のメールマガジンでも受け取る...

POINT6. 最近の業況と今後の見通しについて

決算書などを事前に提出しているので、担当者もあなたの企業の概要をだいたい把握しています。

しかし、次の点などについては、面接時に詳しく聞き取りがあると思います。

明るい材料があれば自分の企業をアピールすることができますので、積極的に情報開示していきましょう。

最近の業況について

最近の売上、利益や、市場性、競合などについて聞かれると思います。

特に売上については、上がったのならばその理由、下がったのならばなぜ下がったのかその理由を明らかにしておく必要があります。

またそういった業況の変化に対して、今後どのような対応をしていくかを考えておく必要があります。

今後の見通しについて

今後の見通しについても聞かれると思います。

現状をしっかり把握した上で、今後の見通しについて明るい材料があれば、積極的に担当者に話をしましょう。

今後の需要予測や受注明細書、事業計画書などの裏づけがあればさらに説得力が増すと思います。

日本政策金融公庫の面接マニュアルでは

日本政策金融公庫のマニュアルには、いくつか面接の注意点が述べられてあります。
さすがに大切なことばかりが記述されています。

実際の面接時の参考となると思いますので、以下でご紹介しておきます。

POINT1. できるだけご本人が出向いて説明してください。

  • ご面談にあたっては、事業の内容などの現状をありのままに説明して頂くことが一番大切です。

POINT2. 資金のお使いみちを明確にしてください。

    • 資金のお使いみち、その必要理由や返済計画を明確にして頂くことも大切です。
    • 運転資金については、なぜ資金の不足が生じるのか、いくら不足するのかを説明していただきます。
    • 設備資金については、お使いみちとともに事業を遂行していくうえでその設備がなぜ必要となるのか、その設備投資によりどのような効果をもたらすのかをお話し願います。
    • 設備の投資計画を立てる場合、借入後の返済負担を考慮して無理のない返済計画を立てることや設備の実施について用意周到な準備を行うことが大切です。
    • 設備資金のご融資のあと、資金の使用状況について照会させていただくこともあります。当初の予定どおりに使用されなかった場合は、繰上して一括返済していただかなくてはならないことになりますのでご注意願います。

さらに面接がうまくいくために

さらに、私が考える日本政策金融公庫の面談にあたっていくつか注意点を述べたいと思います。

当たり前のことと思われるかもしれませんが、日本政策金融公庫の融資担当者の立場を考えて面接に臨むことが必要です。

きちんとしたみなりで面談に望む。

別に高いスーツを揃えるという意味ではありませんが、人は他人を判断するときに少なからず第一印象から入ります。

「人をみかけで判断してはいけない」とはいえ、あなたが無精ヒゲを生やし、だらしない身なりで面談に現れたらどうでしょう。当然融資担当者も好印象はもたないと思います。

なるべく、正装で望むようにするとよいでしょう。

できれば一人で面接へ行く。

初めて金融機関に融資の相談にいくのは、一人では何となく不安があるし緊張もするし、金融機関に対するなんだか怖いイメージもあると思います。

奥さん等が経理担当をしている場合等は、複数で面談に臨むケースもあるかと思いますが、基本的には一人で対応した方がよいと思います。

また、金融関係に詳しい友人や経営コンサルタントとの同行を検討することもあるかと思います。

しかしながら、面談時にあなた以外の方がいくら雄弁に専門的な話ができても、あなたが事業主なのですから、あなたがしっかり自分の事業のことを把握していないと、「この会社は大丈夫なのかな?」と金融機関としては不安になるものです。

ですから、金融関係に詳しい友人や経営コンサルタントがいれば、その人からは事前にアドバイスを受けるだけにとどめておいた方がよいでしょう。

面談のシミュレーションをしてもらうのもよいかもしれません。

面談時には、背伸びをして自分でよくわかっていない難しい専門用語をならべなくてもいいのです。

上手に説明ができれば借りられるという問題ではありません。

もしそうであれば、弁論のプロはいつでも簡単にお金を借りれることになってしまいます。

無理に自分のわからないことを説明したり、自分でも説明できない資料を作ったりする必要はありません。

あなたの考え、あなたの言葉でいいですから、自分で自分の会社の事業内容を説明し、あなたの事業にかける熱意をしっかり伝えられればいいのです。

もし、面接の場でわからない質問をされたら、素直に 「今、わからないので、○日後に確認して連絡します。」 と言えばいいと思います。

社長の傍らに座り、横から話に割って入る第三者からの説明を受けるより、「後で確認してお答えします。」のほうが、スマートで自然ですし誠実さを感じます。

見栄ははらない、うそはつかない。

相手はプロですので、無理や背伸びをしても、どこかでツジツマがあわなくなります。

うそは一番重要な要素である「信用」を失いかねません。

わからないことはわからないことで結構ですので、わからないことは素直に融資担当者に聞く、または相談するというスタイルをとってください。

情報提供をできるだけする。

日本政策金融公庫の融資担当者は、面接の日に始めて会うので基本的にあなたのことをよく知りません。

ですから、融資担当者が知りたいことをわかりやすく、また詳しく説明する必要があります。

また、事業計画などは具体性を持つ必要があり、「絵にかいた餅」ではいけません。

「売り上げ目標は月10万です。計画からいくと確実です。」などといわれても、これでは担当者はわかりません。

なぜ確実といえるのか。
なぜ月10万売れるのかその具体的な根拠を必要とします。

また、今後は売上増の見通しがあるなど、自分が有利になる情報については積極的に出していきましょう。

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